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高円宮殿下メモリアル第6回日本マスターズオーケストラキャンプレポート(II)
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於 第一生命ホール(東京・晴海・トリトンスクウェア) |
1月7日(土)
1月8日(日)
1月9日(祝)
協力:財団法人 日本音楽財団(日本財団助成事業) | |
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全員裏向きで、無我の境地で演奏
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3日目の公開ワークショップで、森さんは突然「裏向きで指揮者なし」という意表をつく指示をだしました。「身も肉も捨ててガイコツになって演奏しましょう」「それから後ろに目をつけて!」「心も入れましょう」。
その結果誰もが予想だにしなかった、今まで聴いたこともないような響きが生み出されました。細部ではずれたりしますが、そんなことは大きな問題ではありません。無我の境地から奇跡とも言える演奏が生まれたのです。幽玄の響きとでも表現したらよいのでしょうか?
虚をつかれると人間は思いがけない力を発揮するものです。
以下は参加者2名の感想です。
「背中に『気』を感じ、中空の音を探り、崩れそうな部分を皆で必死に建て直しつつ音楽が進み、到達した最後のハーモニーの中で1stVlnのフラジオを遠くに(正にLointain!)聞け時は鳥肌が立ちました。」(若尾裕久Vln)
「まさか、あの変拍子のしかもテンポの変化の多い曲を初めて通したのが、後ろ向きの合奏だったなんて、他の人に説明してもわかってもらえそうにありませんよね。沈黙の中に自分がPPで音を置いていく感覚、そして自分が弓を置いた次の瞬間に奏でられるビオラソロの美しさと、最後のバイオリンのソロにぞくっとした感覚は、今まで体験したことのないものでした。喜びや美しさを、リズムとともに表現するのではない、もっと別の音を垣間見た感じです。」(大貫かおるVc)
後日、森悠子さんのコメントです。
「あれはマスターズにしか出せない響きだった。プロはどうしてもプライドや自我が捨てきれない人がいるので、無になりきるのは難しい。」
モーツァルトもそのまま全楽章裏向きで、今度は一転して躍動感あふれる演奏が繰り広げられました。(レポートIIIへ続く)
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森先生の熱心な指導が続く |
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休憩時間を惜しんでの練習 |
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